留学同九州地方本部

　九州の玄関口にして最大都市である福岡に、留学同九州は拠点を置いて活動している。福岡には門司地区、金平地区、足立地区など在日朝鮮人の歴史が色濃く残っており、現在も九州で唯一、朝鮮学校がある都市である。この朝鮮学校に通った学生が、メンバーの大半を占めている。
　留学同九州には、九州大学、福岡大学、西南学院大学、九州産業大学、九州国際大学など、実に様々な大学・専門学校からメンバーが集まっている。メンバーのほとんどが福岡出身であるが、九州全域を管轄しているため、大分のＡＰＵ大学や、沖縄の琉球大学も網羅し、現在７０人以上の学生たちを把握し対象にしている。
　留学同九州には北九州支部と福岡支部の２つの支部で構成され、留学同の中でも歴史の古く伝統もあり、たくさんの卒業生たちに支えられながら、学生たちの力で留学同活動を行っている。
　最近では名簿の拡大と組織の体系化に力を入れて活動を行い、2013年にはＳＮＳを活用したり、朝鮮学校の協力を得たりして多くの同胞学生を探し出し、現在は参加メンバーの定着率を上げることを最重要事項として掲げ、とにかく沢山の同胞学生に留学同を知ってもらい、参加してもらうための活動を重点的に行っている。
　その結果４年前の新歓は上級生含め６人ほどであったが、2013年は19人、今年は全国同時開催の「コリアンロックフェス−ハナロ」もあり、20人近くの学生が集まった。
　九州では遠方から集まる学生が多いため活動は月に１・２回ほどメンバー同士の親睦を深める為の食事会が主である。その他にも勉強会や全国行事である「マダン」の公演準備、大学でのランチ会、屋外での川遊びやバーベキューを楽しんだりしている。また、地域のウリハッキョの運動会や文化祭などへの参加や出店の手伝い、成人式への参加、留学同中四国との合同セミナー、フィールドワークなども行っている。
　夏の「マダン」、朝鮮大学で開催される「学術祭」、スプリングセミナーなどの全国行事の際には、一日前から船やバスや電車を何度も乗り換えて当日を迎える。つらい移動ではあるが、全国の仲間に会って同胞社会の未来を語りあいたい一心から、自らの意思で積極的に参加を希望してくる学生もいるという。全国行事に参加した学生は、各地方の積極的な活動を目の当たりにして心を打たれ、各々の学びを九州に持ち帰り、さらに留学同の活性化に拍車をかけている。
　現在九州のマダン実行委員をしているS.Cさん（九州女子大学２年）は、「九州留学同を他地方に負けないくらい活性化していきたい。留学同に出会って自分の在り方を再認識できたので、在日朝鮮人とは何かを考える機会をもっと沢山の学生に与えていきたい。」と話す。
　留学同九州の一番の魅力は、誰でも気兼ねなく参加できるようなアットホームな雰囲気である。先輩が後輩を気遣い、可愛がる微笑ましいシーンも多々みかける。また、メンバー内には女性が多く、細やかな人間関係も特徴的である。