留学同東京には４年前に設立されたキナリというサムルノリサークルがあります。キナリは、マダンでの文化公演や日本の大学の学園祭に出演しているほか、国連による人権勧告の誠実な履行を日本政府に求めるデモ行進に加わり音楽隊としてデモを盛り立てるなど幅広く活動しています。
　様々な成果を残している一方、今年のマダンに向けた練習では苦しむことが多かったです。現キナリメンバーにはチャンダンに詳しい学生がいないので、普段の練習やチャンダン作成は留学同卒業生のヌナに頼ることが多かったのですが、今回はそのヌナも忙しく何度も指導に来ることが困難でした。そのためチャンダンが未完成のまま練習を進めざるを得ない状況や、練習のクオリティにキナリの主将として悩むことが多くありました。そのような中で、ある朝大生の助けを得ながら、ようやくマダンでの公演にまでこぎつけることができました。
　演奏には粗さが残っていたものの、民族的要素を隠すことが是とされるこの社会で民族楽器を使って堂々と自分を朝鮮人として表現できたことは本当に楽しかったし、演奏後に素晴らしかった、感動した、と言いに来てくれるトンム達がいて、本当にチャンダンをやっていてよかったと感じました。自分を誇らしく、そして自由にしてくれるチャンダンで人を喜ばすことができるなんて、これ以上の喜びはありません。
　１１月は上智大学、東京大学の学園祭に出演予定で、今回は現メンバーの力だけで作ったチャンダンも披露します。自分を解放してくれるあの一瞬一瞬のために、自分たちがここにいるぞと日本社会に訴えるために、そしてもしかしたら聞いてくれているかも知らない同胞学生のために、精一杯、心を揺さぶれるような演奏をしてきます。

(留学同東京 P.C)