私がウリ民族音楽に携わり始めて10年経ったが、はじめの６年間、つまり中学から高校までクラブ活動でウリ民族楽器を演奏していたころは、ただひたすら教えられるままに演奏していた。大学に入学して以降は如何にウリ民族音楽らしく演奏するかということを追求するようになった。ウリ民族音楽の持つ独特の味やノリはどういうもので、それをどう演奏するかの追求だ。幼い頃からウリ民族音楽を聴く機会が多いであろう本土にすむ人々にとってそういうものは自然と身に染みついているものであるが、私たち在日朝鮮人が日本で同じような環境を体験することは難しく、その感覚を身につけたいのならば自ら学び習得していかなければならない。
　大学二年の時、留学同のマダンに向けての文化公演の練習を指導したことがあった。演目はサムルノリでよりレベルの高いものにしようとしたが、本番演じながらほとんどの子が楽しそうでなくただ演奏をこなしているだけのように感じた。民族楽器体験の場はとても貴重な場であるが、この体験を通じてただ楽器を打つだけでなくウリ民族音楽のノリを知りそれを楽しめるものであるべきだと強く感じた。
　ウリ民族音楽らしさを追求することは自分自身に民族性を取り戻す一つの作業だと思う。私は民族音楽を奏で続ける者としてそれをとことん追求して行きたい。またそうして身につけた力をもって在日朝鮮人の人々にウリ民族音楽を本格的に伝えられる場を提供したいと思う。

(留学同兵庫 K.R)