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在日朝鮮留学生同盟中央本部
 
  
 
  ≪留学同通信≫No9 特集  
   
  『ヘイトスピーチ』をどう見るか?
 
     
 

 これを書いている1月現在までの数ヶ月間に言論、表現の自由にかかわるとされる問題があちこちで起きている。シェルリエブドへの襲撃事件や、SONYエンターテイメントへのサイバー攻撃、そして北星学園大学への脅迫事件・・・しかしこれらが同列に並ぶことに強烈な違和感を抱かざるを得ない。
 フランスには旧植民地であるアルジェリア出身のイスラム教徒のフランス人たちが決して差別と偏見から自由でない環境で暮らしているが、そのようなフランス社会においてムハンマドを揶揄する風刺は守られるべき表現であろうか?また、(確たる証拠を一切提示することすら待たずして朝鮮による犯行と断定された)サイバー攻撃の標的となったSONYエンターテイメントの映画「インタビュー」は守られるべき表現であろうか?
 「言論、表現の自由を守ろう」というかけ声が「テロに屈しない」「テロとの闘い」とまるで自然に翻訳されている状況も恐ろしい。いまや言論、表現の自由を脅かす存在(敵)は「テロリスト」であり国家権力の側が市民に結束を要請するという構図があり、「表現の自由」の本質を理解しなければそれすらも全体主義の道具に利用されかねない。
 言論、表現の自由とは、そもそもそれが国家権力に対する抵抗権という側面を有するがゆえにこそ民主主義にとって特に大切なのであり、殊に日本については公権力の思想統制、言論弾圧により全体主義に陥り侵略戦争に走ったことでアジアの民衆に対して多大な加害を働き、また自国民にも犠牲を強いたという歴史の教訓をそこに読み取るべきである。つまりそれは決して誰に対しても好き勝手な発言が許される自由ではないばかりか、表現の自由によって守られるべき優先が虐げられる側にあることも確認されなければならないと私は考える。日本軍性奴隷制の非道を告発する声と、告発を無効化し貶める声とにおいて守られるべきは前者であり後者ではないし、日帝の被害にあった民が叫ぶ反日デモと日本の反韓・反中デモとは決して「どっちもどっち」ではない。
 日本におけるヘイトスピーチの問題、つまり何を守るべきでない表現と考えるかについて、それは在特会らによる罵詈雑言に限定されるべきではなく、日本の侵略戦争の被害者であるアジアの民衆、在日朝鮮人など旧植民地出身者が背負った被害の歴史を否定、矮小、正当化するような歴史修正主義もまた当然に含まれなければならないはずなのである。
 しかし残念ながら、今日の日本の状況においてはヘイトスピーチ規制の議論と歴史修正主義が切り離されて同時進行している。京都市でヘイトスピーチ規制を求める決議が通ったと思えば、それを追うかのごとく府議会では日本軍性奴隷制について反動的な意見書が可決される始末である。植民地主義をただの一度も克服したことのない日本社会において、為政者たちはヘイトスピーチから歴史修正主義を許容可能な言論として切り離さんとなりふり構わないだろう。
 ヘイト規制の議論について状況を冷静に捉えながら原則的に運動を展開することが求められているのではないだろうか。

(留学同京都卒業生P.R)

 
     
     
     
 
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