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在日朝鮮留学生同盟中央本部
書評
 

戦争の克服

著者/阿部浩己、鵜飼哲、森巣博
出版社/集英社(ISBN:4-08-720347-6)
発行年月/2006年6月
価格/756円(税込)

 戦争をいかにして克服するか。

 それ以前にまず、戦争は克服しうるのか。

 これらの問いに対する答えを探るべく、森巣博氏が哲学者・鵜飼哲、国際法学者・阿部浩己氏と行った対談をまとめた一冊。

  戦争の形態、それに対する社会の意識の変遷を追い、国際法を一つずつ見直すことによって戦争とはどういったものなのかをあぶりだすと同時に、国際社会における現在のアメリカや日本の位置づけを問い直している。

  近年、冷戦体制の崩壊もあいまって、世界はアメリカの一極支配という段階にいたり諸国間のパワーバランスが崩れた。ブッシュの主張するいわゆる「テロリスト」という言葉によって、もはや戦闘員と非戦闘員(民間人)の境界線は消滅し、いまや世界中のどこで誰が戦争に巻き込まれてもおかしくはない時代なのである。

  一体誰が「テロリスト」と「そうでない者」とを区別するのか?

  戦争をするための「敵」を作っているのは間違いなく「政治」だ。

  またやっかいなことに、戦争というものをとらえようとした時、国家のみならず底に数多くの企業の利権が絡んでいるという事実を念頭におかなければならず、それに加えて真実を伝えるはずのマスメディアが機能しなくなってきている。

  「正義」を振りかざし、力で理屈を超越してしまう。そこには「平和」への理念なんてあったものじゃなく、自分たちの「敵」には人権なんて存在しないかのような物言い。

  こんな中、日本は「戦争体制へと準備を進めている」のではなく、「すでに戦争体制にある」と考えるのが妥当だろう。アメリカは言うまでもない。

  朝鮮民主主義人民共和国(以下「共和国」)が国際社会の中で孤立している存在であるかの風潮があるが、共和国の核やミサイルといった一連の問題もこういった背景を抜きにしては何一つ理解することができない。

  アジアという枠組みから日本はますます遠ざかる一方で、ヨーロッパもまた、国際社会で横暴をふるうアメリカから離れなじめている。

  孤立し、岐路に立たされているのはむしろ日本とアメリカなのだということを本書によってあらためて認識させられた。

(金泰裕−留学同大阪)

 
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