抗議文
内閣総理大臣 野田 佳彦 様
経済産業大臣 枝野 幸男 様
2012年9月27日
在日本朝鮮留学生同盟 中央常任委員会
去る8月、日本の大学・専門学校に通う在日朝鮮人学生たちによる≪在日本朝鮮留学生同盟(略称:留学同)≫のメンバーが祖国・朝鮮民主主義人民共和国を訪問しました。
メンバーが祖国訪問の日程を終え、日本に再入国した際(9月1日)、関西空港の税関職員は訪問団メンバーの荷物を執拗にチェックし、朝鮮で購入したお土産の全てを没収するという暴挙に出ました。
メンバーはその場で約1時間に渡り抗議しましたが、税関職員は「国の方針」という言葉を繰り返し、「警察を呼ぶ」などと脅迫ともとれる発言によって、抗議に全く取合おうとしなかったといいます。
留学同の学生たちによる祖国訪問事業は、異国に住む在日朝鮮人学生たちが祖国と民族に直接ふれることで自らのルーツをたどり、民族的主体性を確立していく貴重な機会です。祖国の地で学生たちは祖国と民族の息吹を全身で感じ、祖国の人々と語り合い、かけがえのない日々を過ごしました。
そして、祖国での楽しい思い出を日本にいる家族や友人に伝えるため、また自身の心に留めておくため、いくつかのお土産を購入したのです。
今回没収されたお土産は、ポーチやペンケース、ノートなどの素朴なものばかりです。そうした何気ないお土産が、「制裁」の一言で全て没収されたのです。
一体このような行為にどのような意味があるというのでしょうか? これは、日本政府が締結した朝・日平壌宣言の基本精神に反するばかりか、朝鮮や朝鮮人に対するあからさまな敵対行為です。
今年は平壌宣言から10周年を迎える節目の年であり、朝・日の関係改善を求める日本人有志も多く訪朝していますが、日本政府はこうした人たちにも同じような行為に及んでいるといいます。
また、現在も日本政府は朝鮮民主主義人民共和国に対する「制裁」として、在日朝鮮人の貴重な祖国往来の道であった万景峰号の入港禁止、在日朝鮮人の再入国許可や経済活動を制限するなど、その権利を不当に侵害していますが、そのような日本政府による「制裁政治」が朝・日関係改善に何一つ役に立たないばかりか、関係をより一層悪化させる要因となっているのは明らかです。
更には、在日朝鮮人の権利を対外政策遂行のための道具に利用するものであり、到底許されるものではありません。在日朝鮮人の人権、民族的諸権利が、日本の世論や当局の裁量によって左右されるものであってはなりません。
私たちは、今回の税関職員による手荷物没収の暴挙に抗議するとともに、物品の返還、そして謝罪と再発の防止を求めます。また、日本政府による朝鮮民主主義人民共和国に対する全ての「制裁」に反対し、これを即刻解除することを強く求めます。
以上 |