紀元前
朝鮮半島は地理的に見るとユーラシア大陸の東端に位置し、中国大陸に接続する一半島に過ぎませんが、ここで展開された歴史は世界史の中でも注目に値する物です。
朝鮮半島で最も古い人類の痕跡は、約60万年前の旧石器時代前期の物であると言われています。これはピョンヤン郊外の祥原群黒隅里(コムンモル)
で発見された石灰岩洞窟の跡に、人類史上最初の極めて原始的な打製石器と原人が食べて捨てた獣骨の化石層があった事で認められています。これらの洞窟などを中心
とした旧石器時代の生活遺跡は、打製石器を標識にして、全谷里(京畿道)、石壮里(忠清南道)等半島各地で確認されています。半島北部ではこの時代のホモ・サピエンスの
化石人類が発見され、勝利山(スンリサン)人、徳川(トクチョン)人などと呼ばれています。彼らは石刀などを作り、火も使用しました。
又原始的な群団から抜け出し、母系氏族社会を形成していたといわれます。しかし氷河期が過ぎ、完新世になって気温が上がり、地勢や
動・植物相が現在の状態に近づくにつれて旧石器時代人の姿ははっきりしなくなってしまいます。
旧石器時代に次ぐ新石器時代は紀元前5000年季に始まりました。朝鮮半島の海岸一帯に散在している貝塚遺跡等がそれを表しています。
彼らは簡単な竪穴式の住居を作って風雨を防ぐようになりました。彼らの生活をこれまで以上に豊かにし、安定させたのは始めて土器を作るようになった事です。
朝鮮の青銅器時代は紀元前2000年季前期に始まります。この時代にいたって母系氏族共同体社会は崩壊し、それが父系氏族共同体社会へと移行しました。
当時広く使用された独特な土器や墳墓は、朝鮮各種族の血縁的・文化的共通性がますます色濃くなっている事を裏書きしています。
又半島の一部で穀物が栽培されるようになったのもこの頃です。彼らは厳しい自然の試練の中で、今までより安定した生活基盤を整えていきました。
青銅器時代の後期にいたると原始共同体社会が崩壊し、漸次階級社会に移行していきました。この時期の遺跡である各地の墳墓や副葬品は、
階級に分化した社会相を如実に示しています。
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